裸足のシンデレラは御曹司を待っている
「うわー、ネットの宿泊サイトを覗いたけど、実物の建物すごいねー。スケスケ……」

花ブロックを曲がった瞬間、物珍しそうに大声を上げた女は、アレだ。
オレ、城間陽太の中学時代の元カノ金城沙奈絵。
言いわけじゃないが、中学時代の交際なんて、可愛いもんだったら黒歴史にはならない。

付き合っていた当時は、ポニーテルを揺らし、グランドを走り回るオレたち野球部のマネージャーとして色々サポートしてくれていた。
明るくて、元気なイメージは、ショートボブになった今も変わらない。

「親父が、沖縄に帰って来た時用の別荘として、建てたやつだからな。自由な発想でいいんじゃん。オレはこの家、気に入っている」

「うん、素敵だもんね。プールが個人の家にあるとか映画みたい。陽太クンのお父さん凄いね」

沖縄県北部にある『城間別邸』は、設計士である父親が自身の別荘として建てたものだ。
柱で屋根を支える設計で外壁部分が全面ガラス張りで遊び心いっぱいに作られた建物。
500坪の敷地に建てられた外壁部分が全面ガラス張りの木造平屋建て住宅。70平米の母屋とプライベートプールに離れの茶室まで備わっている。
それを、使っていない期間は1棟貸し1泊20万もする高級別荘として貸し出している。
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