裸足のシンデレラは御曹司を待っている
「なあ、遥香……」

陽太に何時になく深刻な表情を向けられ、その瞳から緊張が伝わり、わざと明るい声を出した。

「どうしたの? 陽太?」

「いや、また今度でいいや」

言いよどみ視線を落とした。いつもハッキリ言う陽太らしくない様子を不思議に感じる。

「ちょっと、言いかけて止めるとか、気になるんですけど!」

陽太が、少し切なげに微笑み、右手を軽くあげた。

「おばあが、待っているからオレ帰るわ、じゃ、おやすみ」

「今日はありがとう。おやすみなさい」

玄関先で見送って、ふぅーと息を吐く。今日はいろいろな事が起こり過ぎた。

寝室に入ると、さっきまで直哉が眠っていたベッドに今は真哉が眠っている。
神様とは器用なもので目や鼻、耳の形など細かいパーツが、よく似ていた。
まるで、自分を小さくしたような真哉を見て、直哉は何とも思わなかったのだろうか?
パパを欲しがる真哉に「パパがいるんだよ。この人がパパなんだよ」って、教えてあげたくなる。

「ごめんね。パパが本当に迷子になっていたなんて、ママ知らなかったんだ」

すやすやと眠る。真哉に語りかけた。





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