裸足のシンデレラは御曹司を待っている
だって、直哉の事がまだ好きだと自覚したばかり。だから、記憶が取り戻せるように、以前行った場所にさりげなく案内をして、記憶を取り戻してもらおうと思っていた。
その後で、子供がいる事を告げて、先の事も考えて行こうと計画していたのに。

まさか、陽太が私の事を好きだなんて……。

でも、真哉が産まれてからいつも助けてくれていた。
それが恋愛感情から来るものだったの?
じゃあ、NOと言ったら今までのようにみんなでご飯を食べたり、まるで実家にいるような居心地の良い空間が無くなってしまうの?

そう思うと急に一人きり、広い空間に投げ出されたような心細さに襲われる。

スヤスヤと眠る真哉の手を握った。
その小さな手のひらから伝わる温かな体温にホッと息を吐く。

私は、どうしたらいいんだろう。
真哉のためには何が正解なの?

心細くて、次々と不安ばかりが押し寄せてくる。
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