社長の渇愛
「亜伊…これは、玉ねぎを切ってたから涙が出たんです」

「………心花、俺のことバカにしてんの?」

「え?」
「心花の涙に一目惚れした男だよ?俺。
この涙が、嬉しいのか、悲しいのか、玉ねぎのせいなのか……わからないわけないだろ?
この涙は、悲しんでる涙。
しかも、出逢った時と同じだ」

どうしてわかるのだろう。
亜伊には、全てバレてしまう。

「いつものスーパーに行ったら、元彼と友達に会ったんです」
「は?」
「あの日のこと、思い出しちゃって……」

「まさか、まだ好きなの?」

「それはあり得ません!
私が好きなのは、亜伊です!」
心花は亜伊を真っ直ぐ見上げ、言い放った。

「うん、もう一回言って」
「私が好きなのは、亜伊です」
「俺も……愛してる」

「亜伊」
「ん?」
「き、キスし…て…?」

「はぁ…可愛い……もちろん、いいよ」

亜伊の顔が近づき、口唇が重なった。

「ん……亜伊…」
「ほんと、可愛い…心花」
「亜伊…」
「ヤバ…その顔…」
「もっと…」

「可愛い…うん、もっとしようね!
ほら、もっと欲して?」



━━━━━━━━━━━━━━
「心花、これは?」
「そ、そんな可愛い服…似合いません!」
後日、二人はデートでデパートに出かけていた。

「そう?
似合うよ?」
「そうですか?」
「だから、着てみてよ?」
「じゃあ…着てみますね」
試着室に入り、着てみる。

「ど、どうですか?」
「ん…可愛い……」
「え?亜伊?」
「可愛い~!!
やっぱ、買おう!」

「でも……値段が……」
「心花!」
「え?」
「金のことは、言わないって約束だろ!」
「はい…」
「はい!買いに行こ?」

レジに向かうと━━━━
「心花?」

「え━━━━━」
また、光香がいた。

「めっちゃカッコいい…/////」
光香は、心花の腰を抱いている亜伊を見て呟いた。

「光香、私行くね。
あ、亜伊、行きましょう」
「うん」

「あ!待って!」



「━━━━━━ごめんね、引き留めて。
彼氏さんも、すみません」
デパート内のカフェにいる、亜伊、心花、光香。

「うん。で?」
「え?」
「だから、何?
俺達、忙しいんだよ。二人の時間を奪ってんだから、用件を早く言えよ」

「え?あ、心花。紹介してよ!」
「あ、こちら━━━━━」

「必要ないよ、心花」
「え?」
「お前、心花の彼氏を寝取った女だろ?
つか、そんな奴がよく、普通に心花に話かけれたな」

「それは………」

「まぁ、俺はお前に感謝してるよ?」

亜伊が光香を見て、少し微笑んだ。
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