【短編】今宵、君の腕の中


ねぇ…、
なぜ、冷たくしたり優しくしたりするの?


真実なんて怖くて聞けないくらい、私は隼が好きで好きで堪らないから。


もうこの関係を……恋人の距離を壊せないよ?


今更、幼馴染みになんて戻ってあげられない……





そっと隼の手を握ったら、
ギュッ…と握り返してくれて。


隼の外気で冷たくなった手と繋がる。




久々に触れた隼の手が、愛しくて恋しくて……



部屋に着いたらきっと離れてしまうけど、今だけは繋がっていられることが嬉しくて。


私の瞳からは、


涙が一粒、


雫となって落ちていった―――



< 8 / 24 >

この作品をシェア

pagetop