もどかしいくらいがちょうどいい
【????度】★★★★★☆

 某ファミレス。
 学生で賑わう夕方時に、今までにない真剣な面持ちで、私は正面を見据えた。

 私の正面に座る同じ制服を着た女生徒は、薄いフレームの眼鏡に艶やかに伸びた黒髪を後ろで束ねるザ、大和撫子風の美女。

 行きかう男どもが何度も振り返るけれど、そんな視線など全く意に介さず、目の前に置かれたブラックコーヒーを一口飲んで、表を上げた。


「で、話って?」


 辛辣にも聞こえる口調で、彼女は問いかけてくる。

 私は姿勢を正した。


「あのですね、」

「あ、もちろんお代は貰うわよ」

「ぐっ……守銭奴め……」

「ふうん。減らず口を叩いていいのかしら? 私はこのまま帰っても構わないけれど」

「選べやチクショウめ!」


 ぱしん、と乱暴にメニュー表を彼女こと、水崎瑞月の前に叩きつけた。

 相変わらず友人にも容赦ない態度。
 中学時代は、その冷酷さを称えて『鉄の女』と呼ばれただけのことはある。レスバ最強の女だ。

 彼女に相談事を持ち掛ければ、確実に何かしら、的を射た回答が得られる。

 ……まあ、その代償として、奢らされることもしばしばあるけれど。

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