仕方なく結婚したはずなのに貴方を愛してしまったので離婚しようと思います。
「お、終わった〜〜〜!」
「奥様、お疲れさまでした」
「え!? 原口さんもう終わってたんですか!?」
「ええ、まぁ」
「さ、さすがです」
「この仕事をして何年だと思ってるんですか」
クスクスと上品に笑う原口は秘書のエキスパートだ。
「穂乃果、帰ろうか」
部屋の繋がるドアから玲司がひょこと顔を出した。
「では、社長、奥様、お疲れさまでした」
「原口お疲れ様。また明日もよろしくね」
「原口さん! お疲れさまでした!」
ペコリと頭を下げ原口は秘書室を出た。
「じゃあ僕達も帰ろうか」
すっと玲司は腕を絡めるよう差し出してきたが無視した。カバンを持って「帰りましょう」と先にドアノブに手をかけると「つれなあいなぁ」とちょっと嬉しそうな声が聞こえたのはそれもスルーすることにした。