仕方なく結婚したはずなのに貴方を愛してしまったので離婚しようと思います。
「今日は僕の部屋で一緒に眠ろうか」
「どちらでも、いい、です」
「じゃあ、決まりだね」
優しく触れていた手がぐいっと穂乃果の顔を上に向けバチリと目があった。優しい瞳の奥には火が散っているような雄の瞳が隠されているのを穂乃果は知っている。
「あ……ん……」
舌を絡ませ吸いつくされ、お互いの唾液が混ざり合いこぼれないように何度も呑み込んだ。唾液の絡まる音が響く。部屋にも、耳にも、頭にも。
身体を折り曲げ玲司は穂乃果に覆いかぶさると唇を重ねてきた。息をすることもままならない激しいキスに頭がくらくらしてきて穂乃果は玲司の首に手を回し、さらに舌は口腔内の奥まで吸い上げてくる。
好きでもなんでもないはずの男を求めていつの間にかこんなにも淫らな身体になってしまったんだろうか。分からない。好きじゃないのに何故かキスが更に気持ちよくなっている。好きじゃないのにこんなにも自分の身体は玲司を求めている。好きじゃないのに玲司が気持ちよさそうにしていることが嬉しく感じた。
「穂乃果の中に入らせて」
真っ直ぐに瞳をそらさずに問いかけられて、瞳を逸らすことができず穂乃果はコクリと静かに頷いた。
苦しそうな玲司の声が重ねたキスによってかき消される。腰を打ち付けるたびにずれる唇を重ね直しながら、玲司は腰を打ち付けるスピードを更に早めた。
「ふぅんっ、ん、んん、ンんっ……!」
玲司の額から落ちてきた汗の雫が穂乃果の頬に流れ落ち、身体の中に閉じ込められた快楽が弾け飛びそうになり大きく声を漏らした。