翠も甘いも噛み分けて
スイはスイーツのスイだから
 高校二年の春──

 翠と幸成は、席替えで隣同士になったことがきっかけで話をするようになった。翠の学校は生徒数が少ないおかげで、三年間クラス替えがない。だからこそ男女交際なんてすると、付き合っている間はいいけれど別れた時が気まずくて、クラスの子たちは同じ学年、同じクラスの異性相手の恋バナを口にすることはない。その代わり、他校の生徒との恋バナには男女問わずみんな積極的だ。
 決してクラスの男子に魅力がないわけではない。逆に女子だってかなりかわいいしレベルが高い。そんなイケメン美女が揃っているのに、みんなもしものことを考えて、好きだと思う人に思いを伝えられずに他校の生徒に目を向けていた。
 そんな中、翠と幸成が仲良くしているのを見て、みんなは二人が付き合っているものだと思っていた。友人の中には、翠はチャレンジャーだとか、ガリガリくんの幸成とぽっちゃりの翠が並ぶとデコボコだけど見ていて和むだの、このままずっと付き合いを続けて結婚まで行って欲しいとか、好き勝手なことを言われていた。

「なあ、スイ、英語の宿題やってきた?」

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