天才脳外科医はママになった政略妻に2度目の愛を誓う
 サトさんが言った通り、私の初恋だった。啓介さん以外はなにも見えなくなるくらい好きで、大好きで。自分の気持ちを持て余していた。

 それは今もあまり変わっていない……。

「莉子のやきもちや嫉妬なんかかわいいもんだ。俺はむしろうれしいよ」

 違うの。そんなかわいいもんじゃないの。

 もっと重く暗い感情だから。

「啓介さん……。でも私」

「そんな自分が嫌になるか? 負の感情は疲弊するからな」

 その通り。笑って受け流したいのにそうできない自分が嫌になり、悲しくて、疲れ切ってしまう。この苦しみから逃れるには啓介さんから離れるしかないと思ってしまうのだ。

 でもどうして、啓介さんにわかるの? なんでもできる完璧なあなたに、私の劣等感なんてわからないと思っていたのに。

 あなたも私のように自分が嫌になるとか。まさかそんなわけないわよね?

 もとの席に腰を下ろす彼を見ると、彼は薄く口もとだけで微笑む。

「俺はもっと黒いぞ。何度自分にうんざりしたかわからないくらいにな」

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