天才脳外科医はママになった政略妻に2度目の愛を誓う
 母は母で、なにしろ女っ気のない俺が自分から持ってきた縁談というだけで、両手を上げて歓迎した。

『楽しみだわ。お嫁さん』

『あのな、ふたりとも。言っとくけどとりあえず会うだけだぞ。それから考える』

 実際そのつもりだった。

 俺は結婚に対し懐疑的な思いしかない。

 嫉妬に狂う母を見てきただけに、愛だの恋だのは聞くだけでうんざりだった。

 結婚を意識して見合いの席についたわけではなく、まだ子どもみたいなあの子が、どんなふうにお見合いの席に着くのか興味が先に立っていた。二十四歳の若さで彼女はどんなふうに、どんな思いで見合いをするのか。この目で見てみたかった。

 そして迎えた見合い当日、彼女はtoAで見た一年前とは違い、すっかりおとなの雰囲気を漂わせていた。

 結婚という未来を正面から見つめているような真摯な姿勢が全身から溢れ、俺が結婚を決めなければ、この娘は次の縁談で決めるだろうという、覚悟が見て取れた。

 ならば俺がと思った。

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