天才脳外科医はママになった政略妻に２度目の愛を誓う

　年齢は三十代後半で独身。実際に会って話をしてみると美しい見た目と違いサバサバとしていて明るくつき合いやすい性格のドクターだった。

「乃愛ちゃんはもうお留守番できるんですね」

「今日は母と一緒に寝るそうです」

「いいですねー子ども。私、結婚には興味ないんですけど、子どもだけは欲しいなって思うんですよ」

「え、そうなんですか？」

「『ひよこ園』の子どもたちを見ていると、ほんとかわいくて」

『山上ひよこ園』は、うちの病院で働くお母さんたちの託児所だが、この二年で規模を大きくした。子どもたちの食事費用は病院持ちにして、図書室や学習室を作り、小学校から高校まで学校が終わった子どもたちが自由に来られるようにした。

　子どもたちの具合が悪くても、病院の先生方が診察してくれる。先生方の協力無くしては立ち行かないが、小児科の先生が忙しいと彼女のように率先して協力してくれるドクターがいてくれるおかげで成り立っている。

「先生方が協力してくれるおかげですよ。いつもありがとうございます」