復讐の果て ~エリート外科医は最愛の元妻と娘をあきらめない~
 ちょっと立ち止まってマイブームのハイタッチをする。買ってもらったペンギンのぬいぐるみを落とさないように悩む姿がかわいくてしかたがない。

「かわいいわねぇ」

 通りすがりの老夫婦に褒められて、照れた乃愛は慌てて啓介さんの脚にしがみつく。

「お幸せそうでなによりね」

「ありがとうございます」

 今の私は、溢れる幸せに溺れそうだ。

 もう一度だけ勇気を出そうか。

 啓介さんさんを困らせるとしても、この幸せを私に教えた彼が悪いのだ。

 わがままな自分を取り戻そう。

 幸せを掴むために。

 

 

 
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