妖の街で出会ったのは狐の少年でした

50話 あれから

あの街を出たあの日からしばらく苦しい生活が続いた。雨風を凌ぐことも困難なことも多かった。
そしてやっと見つけた洞窟、岩造りだったので風はともかく雨は凌げる。少し遠いが川の水はとても澄んでいて飲んでも問題なかった。
桜の花がちらほらと咲いている。満開になったらお花見したいな。
つくしにたんぽぽ、タラの芽など食料の宝庫といえるほど、自然豊かだ。
洞窟の生活が落ち着いたら母さんの力でいくあてのない子供を導くことを始めた。
犬神のコン
竜宮童子のミチルとカケル
最初は距離を置いて生活をしていたがどんどん馴染んでいきなんだかんだ共同生活を楽しんでいる。
「ねぇナツキ、カケルってどこ行ったの?」
「カケルならコンと魚取りに行ったけど、うわっ
今日も大量だね。」
「まぁな、このくらい当然!」
すごいドヤ顔だな。
ミチルがとってきてくれた山菜を受け取り夕食と
貯蔵に分けてしまう。
「ただいま~。ナツキさん、ミチル。」
ちょうどカケルとコンが戻ってきた。
「おかえり、カケル、コンもお疲れ様」
「なあどのくらい取れたんだ」
「いっぱい取れたよ。まぁこのくらい当然だけど」
予想通りそういうとドヤ顔した。
なんだかんだ似てるな。ミチルとカケル、
双子かと思ったが本人達は違うって
言っているし
私の思い違いかな?
「ナツキさんは何してたの?」
「うん、ちょっと手紙書いてたんだ、生活が落ち着いたから」
「もしかして、学校の?」
「うん、友達にね
人間の女の子のカズハ
狐の少年のロク
ろくろ首で最初の親友のジュン」
私は2人に学校生活について話した
「楽しそうだな。」
「うん。今までの中で一番充実していた学校生活
だよ」
「じゃあ、なんで辞めちゃったの。ナツキさん」
「私はあの街に行くまで、ぞんざいな扱いを受けることがほとんどだった。でもあの街の人たちはね
違った。しばらくは好奇の目を向けていたけど、すぐに他の人と待遇を変えなくなった。受け入れてくれる街があることに驚いたし嬉しかった。」
一息ついて口を開く
「知らないだけで苦しんでいる子達はいるんじゃないのかなって思って、あの街を出てここで生活を始めた。救いの手を差し伸べてくれた親友達のように、私も誰かに手を差し伸べることができたらなって」
「まぁ、俺が救われたのは事実だしな。」
「俺だって、ここに来れて嬉しいよ。ナツキとおばさん、カケルとコンと生活することができて。俺
今が一番幸せだ」
「そう言ってくれると、私も嬉しいな」
「おばさん/母さん」
下拵えをしていた母さんが出てきた
「みんなそろそろ中に入ったら?暖かくなったとはいえこれから冷えてくるわよ」
「「はーい」」
夕食を食べ終えるとしばらく勉強を教えて、
布団に入る。最後に宛名を書き、枕元に置いておくと翌日には手紙が消えていた。
「嘘とは思ったけど本当だったんだ。」
それから2日くらい経って三人からそれぞれ返事が書いてあった。
「特に変わったことはないのか。先生達も元気そうでよかった」
カズハとロクは似たような文面だった。
まぁ、あの2人はほとんど一緒にいるし当たり前といえば当たり前かな。
ロクに茶化しのつもりで書いたことには
完璧無視だった、
「ひどいなぁ、まぁわかってたけど」
苦笑しながらも、嬉しさが混じっているのが自分でもわかった。
「ん、これって」
ジュンのだった。少し可愛らしい便箋で書いてあった。カズハの入れ知恵かな?
一番下に控えめな文字で書いてあった、
もう少ししたら、考えようかな。手紙じゃ書き切らないこともあるし。


ナツキに会いたい
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