妖の街で出会ったのは狐の少年でした

57話 お財布とハーバリウムと

「失礼します」
「ヨナガ先生からの課題を、どうしたんですか。
校長先生」
校長先生がすごいニコニコしていた。
なんか逆に怖い、
「ヨナガ先生からもらいましたか?」
「え、はい。時計を」
「よかった。なら次は」
次?
「これ、どうぞ」
淡い緑色のお財布だった。
「日常的にお金の音が聞こえていてのでお財布持ってないのかなと」
「う、ごめんなさい」
自分でも分かってたが、いつも後回しにしていたので助かる
「カズハさん」
「はい」
「あなたは初対面の私を怖がらずに接してくれた
それから私は少しずつ生徒たちと接することができた。あなたのその穏やかな性格が生徒たちに近づくことに苦戦していた私の手本になってくれた。
生徒から教えられるなんで威張れることじゃない。でも、私はあなたに救われた。ありがとう、
カズハさん」
今まで見たことのない笑みだった
「お礼を言うのは私の方ですよ。私を受け入れてくれて、ありがとうございます。」
一息ついて
「呼び止めて、悪かったね。私のやることは終わってしまった。名残惜しいがそろそろ行かないと。
彼が待ってる」
彼?
不思議に思いながらも教員室を出る。

彼女が出て行った扉を眺めているとヨナガ先生が入ってきた。
「彼ら、よく考えましたね。」
「そうですね。主役が気づかないようにいろいろなところに根回しをして、プレゼントを買って大変だったでしょうね。」
「私も計画を聞いた時はワクワクしました。
でもあの2人は今までで一番楽しそうでしたよ。」
「彼女は自分が沢山の人に愛されていることに
気づいていないんでしょうね」 

(校長先生先生からどこに向かえとか言われていないし帰っていいのだろうか。でも、彼って?)

上履きから靴に履き替え、校舎を出ようとすると
「待てよ」
振り返るとジュンが下駄箱に寄りかかっていた。
「散々待たせて、素通りはひどいだろ」
その声は少し怒りが含まれているように聞こえた
「え、まだ残ってたの?」
「今までの流れで察せよ」
ため息をついているジュンは苛立っているように見える
「・・・あ、」
「あ、ってなんだよ。」
「ごめん」
「まず、これだ」
ジュンからは青い花の・・・?
「はーばりうむって言うらしい。
ここらはまだ流通してないから知らねえのも無理ないか。」
「私も見たことない、すごく綺麗。というか
ここらって」
「女子のプレゼントって姉ちゃ、姉さんしか選ぶ
機会なかったからすごく悩んだ。
だから流行りが流通してる都心の方に行ってきた」
「都心って」
「ああ、すげー遠かった」
困ったような笑顔で答えた
「そんなとこまで」
「オレとロクはそんなに仲が良くなかった。同じ空間にいてもオレはあいつと距離を置いていた。でも
カズハがきてから少しずつ話すようになって。
ナツキと親友になれたのも一緒に遊びに行くことができたのも全部、奇跡みたいで。その奇跡をカズハがくれたんだ。ありがとう」
顔を赤くくして、はにかみながら答えた。

カズハは泣きそうになっていた。
「え、ちょっと、」
「私、たくさんの人からありがとうって言われたの初めてで、」
「泣くのはまだ早い。これから後半なんだから」
「後半?」
「カズハの帰る場所だ」
カズハは気合を入れたのか笑顔になった
「ジュン、ありがとうをいうのは私の方。
友達になってくれてありがとう」
「ああ、これからもよろしくな」
「こちらこそ」
カズハは歩き出し、オレはそれを眺める
「ここまでの流れは順調。最後、失敗するなよ。」
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