火の力を持つ国王様は愛も熱い


エドとテラスで食事を楽しんだ後、一緒に星を眺めてロマンチックな時を過ごした。



星を眺めていると熱管理で灯した火が切れてきて寒くなってきた。



「クシュンッ…」

「熱が切れて来たか。そろそろ部屋に戻ろう」

「はい」


エドの自室へ戻る時、明日のスケジュールの確認をする為エドには先に戻ってもらって私は使用人用の控え室へと立ち寄った。

スケジュールを確認して控え室の扉を少し開けると話し声が聞こえてきて、咄嗟に扉の後ろに隠れた。

隠れる必要なんてなかったと思うけど、こんな高価な服を着ているのを見られると話の種にされてしまうかもしれない…

「は~!ねぇ、今度ローレンス様のはとこを紹介して頂けるのよ!ローレンス様のがお顔も良いし、王家だし全然比べ物にならないけどあの小娘がいたんじゃ、どう足掻いても無理だし妥協するわ」

「紹介して頂いたのにさっきのはないんじゃない?リリィ姫泣きそうになってたじゃない。ローレンス様にバレたら紹介のお話なくなるわよ」

「あんなどこの国かもよくわからない小娘がローレンス様と結婚決まっててローレンス様にあんな態度取るのよ?信じられないわ!あんな態度取っててローレンス様に泣きつくわけないじゃない。それにあの靴だって私が壊したわけじゃないわ。ちょっと足引っ掛けたら壊れただし、靴なんていくらでも持ってるでしょ」

その話を聞くと、私は勝手に体が動いていた。

廊下に飛び出してローレンス様の専属メイドの前に立つ。

「な、何…あんた…早くエドワード様のところ戻りなさいよ」

「今のお話聞きました」

「やだ、盗み聞きとか趣味悪いんだけど!最低!」

「最低でも構いません…悪意を持ってリリィ姫様を傷付ける様なことは今後やめてください」

今まで立ち向かってこんな事言ったことなかったから声が震える…

「はぁ?あんたに関係ないでしょ?エドワード様に気に入られてるからって調子乗ってんの?」

私が震えているのが分かられているせいか詰め寄られてしまう。

すると、その時だった。

パンッ!

「痛っ!何すんのよ!」

突然、隣りにいたもう1人のメイドの子が私から専属メイドの子を引き離して頬を叩いた。

「いい加減にして!あんたとは幼馴染みだから今まで肩持ってきたけど、もう我慢できない!」

「何よ!夜の御相手も出来ないあんたがローレンス様の身の回りの雑用出来るのは誰のおかげだと思ってんの!?私の金魚のフンのくせに生意気!」

「あ…あの…喧嘩しないでください…」

「そうよ!私は金魚のフンよ!普通に考えてよ!王族の許嫁やお気に入りに対してそんな事して、王族の耳に入らないって自信何処からくるのよ!?あんたのお見合い話も無くなって、クビになったらどうすんの!?そんな理由でお城クビになったら、もう何処も雇ってもらえない、金魚のフンの私も一緒だよ!私の生活補償してくれんの!?」

「か、考え過ぎよ…」

「あんたは考え無さすぎだよ!現に今、エマに聞かれたじゃない!」

するとローレンス様の専属メイドは私のところに戻ってきた。

「さっきの私の話…ローレンス様に言わないわよね?」

「……言いません」

「ほら!こう言ってるじゃない!」

「言いませんが…これからリリィ姫様を傷付けて欲しくないです…」

「わ、わかったわよ…あんな小娘もう一生関わらないし」

私は頭を下げてその場を後にした。

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