火の力を持つ国王様は愛も熱い
「ふえぇ…エマさぁん、腕掴まれて痛くなかったですか?助け来るの遅いっ」
リリィ姫様は怖かったみたいで涙をぽろぽろ流しながらも私の心配をしてくれる。
「うん、強く掴まれてないから大丈夫だよ…怖かったね、もう大丈夫だからね」
「…うぅ…俺…男なのに……全然守れなかった…怖かった…」
「ほら、アル君も…もう大丈夫だから」
リリィ姫様の手を繋いでいない方の手で落ち込んでいるアル君の手を繋いでお城へと戻った。
お城へ戻ると門のところにローレンス様がいてすぐに駆け寄って来た。
「リリィ姫!街行くなら一緒に行くのに、何かないか心配で…」
ローレンス様が来るとリリィ姫様は私の手を離してローレンス様に抱き着いた。
「え…?何かあったの?」
リリィ姫様が抱き着いた事にローレンス様も驚いている。
「ローレンス様、申し訳ございません…街の路地で若い男の人達に囲まれて…すぐに助けは入ったのですかリリィ姫様を怖がらせてしまって」
「何!?」
「ふぅッ…何で怖い時いてくれないのっ…ばかぁ…」
「えぇっ!リリィが僕から離れるから…でも、怖い時側に居られなくてごめん…もう怖い思いさせないから…護衛兵にもっと早く対応する様にしてもらわないとな…エマとアルは大丈夫だった?」
「うん、大事になる前に対応してもらったから」
「……平気です」
「それなら良かった、二人もごめんね。街での護衛の対応見直すようにするよ…それじゃあ、リリィ部屋で休ませてくる。二人も今日は早めに休んでね。リリィ行こう?」
ローレンス様はリリィ姫様の肩を抱いてお城の中へと入って行った。
二人が居なくなるとアル君は大きなため息をつく。
「はああぁ…俺、怖かった事ばっかりでリリィ姫の心配出来てなかった…」
「それは仕方ないよ!アル君だって怖い思いしたんだし」
「……俺、絶対ローレンス様には適うわけないじゃん…格好良いし、優しいし、王子だし…リリィ姫、許嫁だから仕方なくって言ってるけどローレンス様の事めちゃくちゃ好きだし…俺なんてただじぃちゃんが王室の薬師なだけで…」
「アル君にはアル君の良いところいっぱいあるから自分を卑下するような事言わないで」
アル君を慰めながら手を引いてお城の中へ入ると、エドとワイアットさんがすごい勢いでやって来た。
「エマ!アル!今、街での報告受けたところだ、無事で良かった」
エドは真っ直ぐに私のところへ来ると人目がたくさんある場なのにも関わらず私を抱き締めた。
「エド…ここ人前だから……」
小さい声でそう言うけど、エドは離してくれない。
人目は気になるけど……エドが抱きしめてくれると安心して涙が溢れそうになる。
気を張っていたのが緩んでしまいそうだ…
「じぃちゃぁん…ふグッ…」
「ほら、アル…男の子だろう?全くお前はまだまだ甘えっ子だからなぁ」
私とアル君も今日はもう休む事になり、それぞれ部屋へと帰ることになった。