火の力を持つ国王様は愛も熱い
アル君が先導してくれて暗い道の先にある扉にランプの光を当てた。
扉は蜘蛛の巣も張っていてすごく古いようだった。
「ここだよ…開けるね」
「うん…」
アル君は鍵を使って扉を開けた。
そして、急いで中に入って明かりが漏れないように扉を閉めた。
ランプを中にあった棚の上に置くと中の様子が見える。
本棚と机があるだけで、小さな書斎みたいなところだ。
思っていたところと違う…
アル君は本棚の本を1つ手に取り、本を開いた。
「うわ…多分、薬の製薬の事だと思うけど難し過ぎて何書いてあるか全然わからないや…」
「製薬の本だけかな…?手分けして見てみよう。チェックしたらちゃんと元の場所に戻すの忘れないようにね」
「うん、ここに来た事がわからないようにしないとね」
アル君と手分けをして、何か手掛かりがないか探し始めた。
あの薬の取り扱いや、成分について詳しく書いてあるみたいだけど……これだけ勉強しなくてはあの薬を取り扱う事は出来ないんだ。
「これだけ薬以外の事書いてあるよ!水の国の事だ……え……?嘘だろ……こんな事誰からも聞いた事ない」
「ん?見せて?」
アル君の開いた本を読むと、水の国の事が書かれていた。
水の力を持つ者は外見的特徴として肌が透き通っていて、美しい見た目をしている。
水の力は火の力を抑える事が出来、雷の力を強める事が出来る。
火の力を持つ男子の力は圧倒的に強く、自身でも制御する事が出来ず水の力を持つ者が抑えていた。
力を制御する為に水の力を持つ女子を娶る事も多かった。
その夫婦の子供は必ず火の力を持つ者と水の力を持つ者の双子が生まれる事から二つの国は友好的な関係を保っていた。
雷の力を持つ者は水の力を持つ者を求め、水の力を持つ者を攫っては水の力を持つ者の美しさから性欲の捌け口として扱ってい
追記。
現代では火の力が強い男子はほとんど生まれなくなったが、水の力を持つ者がいない現代では力の強い男子が生まれてしまった場合は薬を頼る他はない。
後から付け加えられたと思われる追記の文章が記されている。
「こんな話……私も聞いた事ない……」
戦争の発端が性欲に乱れた事が原因で、現代ではライマール王国とは敵対関係ではないから真実は隠されたのかもしれない。