火の力を持つ国王様は愛も熱い
お城に着くと暖かい部屋に案内されてスープとパンまで用意してもらえて、初めて温かくてすごく美味しいスープを飲んだ。
「わあぁ…こんな美味しいスープ初めてだぁ」
「モニカが作ってくれるスープ美味しいだろ!」
「うんっ」
「お前名前は?オレ、エドワード!エドって呼んでいいぞ」
「私はエマ」
「エマ!今日からオレの友達にしてやる!」
「やったぁ!エド、よろしくね」
するとスープを用意してくれたお姉さんが部屋に戻ってきた。
「モニカー!この子オレの友達のエマっていうんだぞ!」
「あらそう!可愛いお名前ね、エマちゃんに色々お話聞く前に二人共お風呂入るわよー」
お姉さんはそう言うと私とエドを両脇に抱えてお風呂場に連れていった。
「離せよ!オレ1人で洗えるんだぞ!」
「はいはい、エマちゃん1人でお風呂入れる?」
「え?おふろ…?」
いつも何日かに1回冷たい水をかけられていただけで施設にいた時は入れて貰っていたかもしれないけど物心ついてからお風呂に入った事がなくて何を聞かれているのかもわからなかった。
「…うん!大丈夫!綺麗に洗ってあげるからね!」
モニカお姉さんは私の事を抱えてお風呂場に連れて行くと、私が着ていたボロボロの布切れのような服を脱がしてバスタブの中に立たせられる。
シャワーを手に持って水を出すと、モニカお姉さんは水を手で触ってから私にシャワーを向けた。
すると、おばさんに水を掛けられる時の事を思い出す。
掛けられる水は外に溜まっている雪解け水でそれはすごく冷たくて、痛くて、濡れた服が乾くまでずっと寒くて水を掛けられる時は嫌いだった。
「ヒャッ…」
「ごめんね!ビックリさせちゃったね!お手てからゆっくりかけたら大丈夫かな?」
モニカお姉さんはシャワーの水を私の手に掛けた。
「へ…冷たくない…わぁ!暖かいねぇ」
「暖かいでしょ?お城のお風呂はお湯になるの早いんだよね。体にかけても大丈夫?」
「うんっ」
手際良くピカピカに洗ってくれて、髪の毛も綺麗に切ってくれた。
今思えばろくに体を洗った事のなくて汚らしい私を何の偏見もなく抱き締めてくれて、友達になってくれたエドは……昔から優しかったんだと思う。
モニカお姉さんは何処からかすごく可愛いお洋服を出してきてそれを着せてくれた。
「やだ……エマちゃん天使!絶対可愛い顔してると思ったんだよぉ!うちの子になって欲しい!」
「???」
こんな綺麗なお洋服着た事がなくて、全てが初めてで嬉しいけど戸惑ってしまった。
「モニカ!何でオレの事ずっと放っておくんだよ!?お着替え一人でやったんだぞ!」
「一人で出来るって言ったのエドワード王子でしょー?ほら、エマちゃん見て!見違えたでしょ~」
モニカお姉さんは私をエドの方に向かせた。