龍神さまのいるところ
第18章

第1話

 翌日から、すっかり舞香の姿を見かけなくなった。

当然のことだ。

休み時間ごとにのぞきにきていた教室にも、必ず絡みにきた昼休みも、顔を出さない。

放課後も同じ。

俺は誰もいない部室で一人、カメラをパソコンにつないだ。

 ファイルフォルダーの中の、無駄に撮った画像を次々と流している。

ふとマウスを動かす手が止まった。

別フォルダーとして放置されていた『星空』のファイル。

初めて舞香とハクを見た時の写真だ。

山本が入ってくる。

ドカリと隣に腰を下ろした。

「別れたの?」

 紙パックのマンゴージュースを飲んでいる。

それは俺が最後にハクに買ってやったのと、同じヤツだ。

「だ、れ、が? だ、れ、と?」

「お前と舞香ちゃん」

 ズズッという音を立てて、最後の一滴をすする。

飲み終わったそれを、ポイとゴミ箱に投げ入れた。

山本の外したそれを、俺はちゃんと捨て直す。

「だから、付き合ってないって」

「希先輩と荒木さんを奪い合って、希先輩が負けたっぽい」

「は?」

「舞香ちゃんと荒木さん。付き合いだすんじゃね?」

 思わず立ち上がる。

「圭吾はそれでもいいのかなーって」

「よくない!」

 よくはないけど、よくなくないこともない……。

「つーかソレ、なに情報だよ」

「みゆき情報」

 みゆきか……。まぁ、表現の仕方は問題あるけど、要するにそういうこと、ではあるのだろう。

「お、俺には関係ないから……」

「あっそ」

 腰を下ろす。

もう一度立ち上がって、また座る。

山本と目が合った。

「なにやってんの」

「何も!」
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