千早くんは、容赦が無い
 いろいろ想像してみたけれど、考えたってわかるわけがない。

 ……そうだ、本人に直接聞いてみよう。

 そう思ってスマホを手に取った私だったけれど、複雑な事情が絡んでいるかもしれないから、電話やメッセよりも直接会って聞いた方がいいだろうと考え直す。

 明日何も用事が無ければ、千早くんは私と一緒に帰ってくれるはず。

 その時に思い切って去年に何があったのか尋ねてみよう。

 きっと何か理由があったんだよ。

 うんうんと、私は自分を納得させるように頷く。

 確かに陸に聞かされた去年の千早くんは、信じがたくて私も取り乱してしまった。

 だけど、私の千早くんに対する気持ちは、全然揺らいでいなかった。

 自分でも不思議なくらいに。

 いつの間にか、私は少しのことでもぶれないくらいまで、千早くんに大きな想いを抱いていたんだね。

 だけどだからこそ、千早くんの過去を知りたいよ。

 千早くんの負の部分も受け止めたいと、思ったから。

< 150 / 221 >

この作品をシェア

pagetop