八千代くんのものになるまで、15秒


そっぽを向いた瞬間、ガタンッ、と電車が大きく揺れた。


「っ、わ」


突然のことに驚いて、バランスを崩してしまう私。
そんな私の腰をグッと引き寄せて、扉の方に連れてきてくれたのは、瑛士だった。


小さい頃から知っている瑛士の匂いがふわりと香って、思わず目を見開く。



「──俺が蓮のこと助ければいーじゃん」



瑛士を見上げると、今まで見たこともないような真剣な顔をしているから。



「梓希じゃなくても、俺がいればいいんじゃねぇの。」



瑛士の耳……赤い。
いつもの瑛士じゃなくて、私はただただビックリして、声も出なかった。



「えいじ、」
「……」



何とか声を絞り出すけれど、その後の言葉が続かない。
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