八千代くんのものになるまで、15秒
俺の首筋についたキスマークのことについて聞かれたあの時から、
何となく、特別に想われてるのは分かって。
『さわらせないで……』
電車の中で、小さく呟いた倉木の言葉を聞いた時から、確信に変わった。
自分の気持ちを上手く自覚できなくて、言葉にもできない倉木を、いつの間にかもどかしく感じてた。
自分はそんな状態なのに、なんでか俺のことを応援しようとするんだから尚更。
『頑張ろうよ、八千代くん』
でも、そんな倉木に救われたのも事実で。
だって、倉木がいなかったら、きっと俺は今でも百合さんのことで拗れてた。
倉木がいなかったら、仁と百合さんの幸せを願うこともなかった。
『八千代くんの幸せが、私の幸せだもん』