八千代くんのものになるまで、15秒


あ、言っちゃったんだ……
そっか、じゃあ私が悪いね……

ごくり、唾を飲み込む。



「あの、私これからどうなっちゃうのかな……?」



ぎゅ、と両手を胸の前で握りしめると、
「そこじゃないでしょ」って梓希くんは言う。

どういうこと?なんて、キョトンとする私に、梓希くんはまるで私を甘やかすように綺麗に微笑んだ。

誕生日にプレゼントしたピアスが、梓希くんの耳元できらりと光る。

彼はゆっくりと私の手をとって、自分の首の方へと回した。



「息、苦しくなったら襟のとこ引っ張ってね」
「え、」

「止めてあげられなかったらごめんね」

「……あっ、まって梓希く──っ、」



言葉ごと呑み込まれてしまうような、
そんな、甘くて深いキスだった。





< 204 / 279 >

この作品をシェア

pagetop