八千代くんのものになるまで、15秒

隠さないで、八千代くん







『腹立つよね。好きな子が他の人に夢中になってるとこ見るとさ』


……それってつまりは、八千代くんもそういう気持ちになったことがあるってことなのかな?

八千代くんには、好きな人がいるのかな。




「……倉木」




話の流れ的にそうだよね?

それで、もしかしたら、その好きな人とは上手くいってない……とか……




「倉木ってば、」

「っ、えっ?」




いきなり八千代くんに肩を叩かれて、ハッとする。

や、八千代くん一体どうしたの……って、




「ぼーっとしてた?次倉木の番だよ」

「……あ!」




周りを見渡せば、クラスメイトが皆んな私のことを不思議そうに見てた。

教卓に立っている先生も、仕方ないなぁって顔をしてる。




「次のページから、倉木さん、音読してもらえる?」

「は、はいっ!すみません!」




現代文の教科書を手に、慌てて席を立つ。

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