八千代くんのものになるまで、15秒


数秒の沈黙の後、八千代くんが小さく笑い声をたてた。



「倉木って面白いね」



……。



「真剣に聞いてるんですけど……」

「はは、真剣なんだ」

「そ、そうだよ。真剣なの」




八千代くんがあんなこと言うから、もしかして好きな人がいるのかなぁって。

そういうことばっかり考えちゃって、勉強に集中できないの。

もう少しで中間テストが始まるのに、これじゃあ大変なことになっちゃうでしょ。

だから教えてほしいの!



早口でそう言うと、またクスクスと可笑しそうに目を細めて笑うから。




「かわいーね、倉木は」




とか、不意に爆弾をおとしてくるから。




「そんなこと気にして集中できなくなってるの?」

「っ、ぅ」

「俺のせいで頭の中ぐちゃぐちゃになってるわけ」

「〜っなにか問題でも!?」




ガタッ、と思わず立ち上がって八千代くんをキッと睨む。

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