君と恋をするための三か条
それにしても、さっき頼んだこのカクテル…。
ジャック・ローズなんて可愛らしい名前をしているし、聞けば飲みやすくて女性に人気と言うので飲んでみたけれど、思っていたよりも味が濃い。

まともにお酒を飲むのは初めてって言えば良かったのかしら。

って、いけない。また余計なことを。

今夜は友達と食事に行ってくる、と父には伝えてあるし、あまり遅くなっては不審がられてしまう。

最悪今日見つけられなくても明日も時間はあるけれど、なるべく早い方がいい。
いつ父に具体的な話を持ち出されるか分からないもの。

間もなくして、色彩豊かな料理がいくつか運ばれてくる。
するとほぼ同じタイミングで、隣の席で少し横幅のある男性が椅子を引いた。

「お隣、いいですか?」

「は、はあ…どうぞ」

なんで、わざわざ隣に?
他にも席は空いているのに。
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