町空くんは無自覚な闇


「……わかった」

 どちらにせよ、ここで拒否したら自分の身が危ない気がする。
 私はそれを受け入れ、放課後に会う約束をした。


 まだ一週間前のことを思い出すと、胸が熱くなる。
 これから町空くんに会うなんて、私が緊張する。

 突然ふたりきりになって、迫られたらどうしよう。
 私の胸を高鳴らせるあの姿で迫られたら、拒否できない気がする。

 悔しいけれど……そうなれば私の負けだ。


「藍原さん……!本当に、ごめんね……来てもらって」
「いや、気にしないで……?」

 放課後、私は町空くんとふたりで会っていた。
 合流するなり、町空くんから謝られたけれど、変に意識してしまい、ぎこちない空気が流れる。


「これからどこに行くの?」
「それは、言葉では説明しにくくて……」

 もしかして、口止めのためにどこかに連れて行かれるのかな……。
 同じクラスだし、危害を加えられる気はしないけれど……嫌な予感しかしないのは確かだ。


「あの、僕……ずっと藍原さんに伝えたいことがあって」

 町空くんは恥ずかしそうにしながら、口を開いた。
 なにを言われるんだろうと少し身構える。

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