クールな歌手の揺るぎない思い〜この歌が君に届きますように〜

修哉side

さっきはヤバかった。

正直、この部屋に小春が来てから理性を保つのが大変だ。
隙さえあれば触れたいし、あばよくばキスだってしたい。

だが、男に傷付けられ傷心の小春をこれ以上傷つけてはいけないと強く思う。

小春がやっと、俺の家に住む事を承諾してくれたんだ。焦る事はない。

嬉しさのあまり朝からちょっとテンションが上がる。
こんな状況で不謹慎ではあるが、出来るだけ早く側におきたいと思っていたから、良いきっかけになった。

後はストーカー野郎をとっ捕まえて、二度と小春の前に現れ無い様にするだけだ。

剣持は一対一で会う事は避けるべきだと心配していたが、俺としては話せば分かり合えるかもと思ったりもする。

奴と俺は似た者同士にさえ思っている。
俺と奴との違いは、ただ小春が俺の事を受け入れてくれたと言う事だけだ。

先輩だったと言う事も多少は有利かもしれないが、俺だって結構歪んだ性格だし、間違えれば逆になってた可能性だってある。

奴は愛し方を間違えた。
強引に自分のものにしようとしたから、
小春は怯えて逃げたんだ。

俺は同じ間違いはしない。
正直なところすぐにだって抱きたい、自分のものにしたい。
本人は分かってないが、小春は魅力的だし無自覚に可愛い。無防備で隙きだらけだ。
誰かに奪われるんじゃ無いかっていつも不安だ。
だからって怖がられて逃げられるなんて奴と同じ間違えはしない。

小春が心を開くまでいつまでだって待ってやる。

小春を守れる立場をやっと手に入れたんだ。焦る事はない。

会えなかった10年を思えば、1番近くに居られる今を大切にしたい。小春の信頼を得られるなら、
いつまでだって待ってやる。

風呂に入りながら気持ちを落ち着かせる。

それにまだ俺は大切な話をできていない。
家族の事、母親の事。
小春にどう思われるのか怖い。 
やっと近づいた心がまた離れてしまうのではないかと思うと、離す事ができない。

小春に対してだけは臆病になる。
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