あの日の夢をつかまえて

第3話


『みぃくん、話があるんだ。
いつになってもいいから、今日は私の部屋に帰ってきて』



帰りの電車の中。

スマートフォンを見つめる。

画面にはさっき送ったメッセージ。

みぃくんはまだ読んでいないらしく、何も返事は返ってきていない。



今頃、西村さんと話しているのかな。

西村さん、みぃくんのことを救ってくれるかな。



ずっとそばにいたのは、私。

ずっとそばで見ていたのは、私なのに。



みぃくんのこと、支えられなかった。

今日だって結局は、西村さんに託しちゃったし。



自分の部屋に帰って。

窓辺まで来た私は、すっかり暗くなった空を眺める。



……あの時。

みぃくんにお守りを貰った時。

みぃくんは日直日誌を提出するために、教室を出て行った。

だけどすぐ教室に戻ってきて、
『もう外が暗くなるから、駅まで一緒に帰ろう』
と、誘ってくれた。


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