朝、キスして。
掴む手の力が緩んだ隙に腕を引いて、今度こそ私はそこから立ち去った。
「あっ、ちょっ…!……どうすればいいんだ?」
慌てふためく吉田くんの声がするけど、無視して逃げ帰る。
関係ない。私には関係ない。
瞬が誰と何をしていようが、私には関係ない。
そう何度も言い聞かせながら……。
一方で、心は押し潰されそうなほど苦しい。
『俺のものにする』って言ったのは誰?
もうどうでもいいの?
そんな自分勝手な想いばかりが溢れてくる。
私は瞬にとってなんでもない。
引き止められるだけの存在じゃない。
“たかが幼なじみ”なんだ……。