朝、キスして。

いやいや、ここで“あーん”はないでしょ──って思う?

残念、食べます。


たぶん私は、詰めが甘い。

このとき、バレたらどうしようとか付き合うだけで精一杯とか、もうすっかり頭から抜け落ちていた。


少し身を乗り出して、つみれをぱくっと口に入れる。

瞬間、広がる爽やかなポン酢の味。

噛めば、柔らかなつみれが簡単に崩れて、なんこつのコリコリした触感に刺激される。


「ん。ほんとだ!美味しい!」

「だろ?」


瞬が笑顔を見せるので、私からも自然と笑みが漏れた。


幸せに包まれる私は、気づかなかった。

一部始終を目撃していたいくつもの目に……。


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