朝、キスして。

心を覗くと、まず最初に見えるのが見栄とか虚勢。

ずるいという感情を引っ張ってくる、むかつくとか悔しいとかもある。


だけど、そういうのを越えた深淵にあるのが本音。

好き、とか。


「キス、してほしい……」


──とか。


照れくさかったはずなのにこぼれ落ちた。

本当に、ぽろりこぼれた。


恥ずかしい部分を見せたっていい。

瞬の思い通りになったっていい。


たとえ堕ちようとも、天使が悪魔に恋をするように。

かき立てられた欲望は、見て見ぬふりできない正直な気持ち。


呟いた直後、両手で頬を覆われて顔を上げさせられた。


近くで目が合う。

余裕はない。

私も……それから、瞬も?


耐えられなくなったみたいに引き寄せられて。


唇が重なった。


やわらかな口づけは、小さい頃に何度も挑戦してくれた王子様とお姫様のそれ。


あの頃は、理想にほど遠くて物足りなかった。

けど、今は違う。

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