朝、キスして。
『今もあのときも、ハルくんが庇ってくれたから、こうして平和に過ごせているんだし。ありがとう』
俺の責任を消し去ってくれた、有咲のそんな強さに俺は惹かれた。
有咲にとって瞬が本当にただの幼なじみなら、アプローチでもかけただろう。
だけど、有咲が瞬を意識していたのは見ていてわかったし、瞬が有咲を好きなのも知っていた。
宿泊研修1日目の夜にクラスメイトから好きなタイプを訊かれたとき、瞬はかなり具体的に答えていた。
口を滑らしたみたいだったけど誰かを思い浮かべていたのは明らかで、その誰かはなんとなく有咲なんじゃないかと思った。
仲がいいし、それ以外の選択肢がなかったし。
有咲と瞬は両想い。
それをわざわざ横やり入れるような横恋慕する気はない。
負け戦だから逃げたわけでもヒールになるのが嫌だから身を引いたわけでもなくて、2人がうまくいくのが1番いいと思っただけ。
有咲のことが好きだけど、有咲には本当に好きな人と結ばれてほしいって。
だから2人がつき合ってそれで終わり。
時間が気持ちを風化してくれるのを待つ。
──はずだったのに。