最愛ベビーを宿したら、財閥御曹司に激しい独占欲で娶られました
またチワワ……。そこまできっぱりと言い切られては反論する気も起きず、私は彼の家にお世話になることに決めた。

現在私は無一文なのだ。泊めてもらえるだけありがたいと思おう。

中に入ると、真っ白な壁に優しい木のフローリング。

奥は広々としたダイニングルームとキッチン。一面にとられた窓からは、きっと日差しが清々しく差し込むだろう。

二階はソファや暖炉、本棚やテレビが置かれているリビングルーム。ベッドが備え付けられた客間やバスルームもあるそうだ。

三階は彼の寝室と書斎、そしてクローゼットらしい。

先ほどの百貨店やレストランと違って内装は現代的だが、なんだか温かい雰囲気で、かつ彼らしいスタイリッシュさもある。

「素敵な家ですね」

素直に感想を伝えたのだけれど、彼は驚いたようにぴくりと眉を跳ね上げ、やがて苦笑した。

「ありがとう」

なんだか照れているみたいだ。ちょっぴり気の抜けた表情が見られて心がふんわりと温かくなる。

家の中にいると、彼も警戒心が緩むらしい。

「荷物は二階の客間に置いてくれ。一階、二階は好きに使ってくれてかまわない。三階は立ち入り禁止だ、仕事のものがある」

運転手にも手伝ってもらいながら、車から客間へ荷物を運び込んだ。百貨店で買った服などもあって荷物が大量だ。

< 61 / 272 >

この作品をシェア

pagetop