アゲハ蝶は、クローバーを一人占めしたい
「揚羽くん、鳳雅くん。
頑張ってくるね!」

少し不安そうだが、微笑んでくる四葉に、揚羽と鳳雅は微笑み返す。

「頑張れよ!」
「何かあったら、すぐ連絡して。
すぐ、助けに行くからね」

四葉は小さく手を振り、千歌と共に舞台裏に入っていった。


「…………なんであんな、余計なこと言った?」
舞台裏のドアを見つめながら、揚羽が言った。

「は?」
「お前が余計なこと言うから、四葉が無理をしなければならなくなった」

「揚羽」
「何だ?」
「もし…」
「は?」

「四葉と結婚できたとしたら、お前はどうするつもりなの?」

「は?」
「まさか、四葉を監禁したりしないよな?」

「………質問の意図がわからない」

「揚羽の言ってること、狂ってるんだよなぁ」

「そうだな」

「四葉にだってダチはいるし、変な意味じゃなく揚羽以外の男と関わることだってある」

「うん」

「それを、制限したりしないよな?」

「わからない」

「わかんねぇのかよ!?」

「今はとにかく、四葉を手に入れることしか頭にない。
それしか今はない。
だからそれ以外のことは、わからない」


ステージの方に向かう、揚羽と鳳雅。

「揚羽様だ!」
「鳳雅様もいるー!」

「カッコいい~!」
「でもなんで、今日は二人なんだろ?」
「いつもは、四葉ちゃんといるのに」

曲がかかり、ファッションショーが始まる。
沢山の斬新なデザインから、普段着て行けそうなデザインの服を着たモデル達がランウェイを歩いてくる。

「四葉は?」
「知らない。僕が知るわけないだろ?」

しかしなかなか、四葉が出てこない。
次第にドレスを着たモデル達が出てきだした。

「四葉、まさか最後に出てくんのか?」
「最後?いくらなんでも、ないだろ。四葉は全くの初心者なんだから」
「だよな」


━━━━━━そのまさかだった。

「え!!?私、最後なの!?
いくらなんでも、無理だよ!!」
四葉はメイクアップし、ドレスを着付けてもらいながら声を荒らげていた。

「大丈夫。トリだからって、特別なことしなくていいし!
いい?
他のモデルみたいに、向こうまで行ってゆっくりクルッと回って帰ってきてくれればいいからね!」

「無理だよ…」
「大丈夫!よし!出来上がり!
…………って…四葉……ヤバい…それ…」
千歌や他のメンバー達が、固まり見入っていた。

「え?え?な、何!?」

「四葉ちゃん、綺麗…/////」
「やっぱ、別格ね…/////
まさに、お姫様////」
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