狂愛的ロマンス〜孤高の若頭の狂気めいた執着愛〜
『変わったことといえば。姐さんの担当医が物凄いイケメンらしいですよ。それで姐さんも診察のたびに緊張するって仰ってましたし。あっ、今日、これから診察ですもんね。そりゃあ心配にもなりますよね~』
「……余計なことはいい。そんなことより、なにか変わったことがあれば逐一報告しろ。いいな」
ヤスには、美桜と再会する以前から美桜の身辺を探らせていたこともあり、美桜のこととなると、こうして余計なことを言ってくるがそんなものスルーだ。
ーー美桜が俺以外の男に惚れたりするわけがない。仮にそんなことになってみろ。地獄の底まで追いかけてやる。相手の男なんて八つ裂きにしてくれる。
想像しただけで腸が煮えくりかえる。
思わず奥歯をギリと噛みしめ、握った拳が怒りでプルプルと打ち震える。気がつけば、手にしていた万年筆をバキッと折り曲げていた。
このように昔から、尊は美桜のこととなると冷静ではいられなくなってしまうのだ。
だからこそ美桜の前では、極力感情を抑え込んでいるのだが、どうにも抑えが効かないときがある。
初夜と新婚旅行がまさにそれだった。
ゆえに美桜自身に聞くのが怖かったのだ。