狂愛的ロマンス〜孤高の若頭の狂気めいた執着愛〜

『変わったことといえば。姐さんの担当医が物凄いイケメンらしいですよ。それで姐さんも診察のたびに緊張するって仰ってましたし。あっ、今日、これから診察ですもんね。そりゃあ心配にもなりますよね~』

「……余計なことはいい。そんなことより、なにか変わったことがあれば逐一報告しろ。いいな」

 ヤスには、美桜と再会する以前から美桜の身辺を探らせていたこともあり、美桜のこととなると、こうして余計なことを言ってくるがそんなものスルーだ。

 ーー美桜が俺以外の男に惚れたりするわけがない。仮にそんなことになってみろ。地獄の底まで追いかけてやる。相手の男なんて八つ裂きにしてくれる。

 想像しただけで腸が煮えくりかえる。

思わず奥歯をギリと噛みしめ、握った拳が怒りでプルプルと打ち震える。気がつけば、手にしていた万年筆をバキッと折り曲げていた。

 このように昔から、尊は美桜のこととなると冷静ではいられなくなってしまうのだ。

 だからこそ美桜の前では、極力感情を抑え込んでいるのだが、どうにも抑えが効かないときがある。

 初夜と新婚旅行がまさにそれだった。

 ゆえに美桜自身に聞くのが怖かったのだ。

< 220 / 244 >

この作品をシェア

pagetop