狂愛的ロマンス〜孤高の若頭の狂気めいた執着愛〜

 以来、父の本妻である腹違いの兄の母親・薫《かおる》に家のことをすべて任せきりの父の代わりに、それはそれは厳しく育てられてきた。

『あなたには、いずれうちの家をもりたてるための、駒として役立って貰わなければいけませんから、しっかり習い事に精進してくださいね』

いつだったか、まだ幼い美桜に対して冷たく言い放った継母である薫の言葉が今も耳にこびりついている。

 実の父である弦は、華道の家元として華道教室だけでなくカルチャースクールなどの講師としてたくさんの生徒を相手にしているだけあって、温厚で物腰も柔らかく、とても優しい人だ。

 けれども愛人との間にもうけた美桜のことを、いくら引き取り手がなかったとはいえ、前家元の指示により引き取ったという、薫に対しての負い目があるせいか、美桜にはどこかよそよそしいところがあった。

 それは昔も今も変わらない。

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