魔法の手に包まれて
 そこで通話がぷつっと切れた。静かになったスマホを見つめ、少しだけ千夏は息を吐いた。

 彰良は輝いている。やりたいことをやって、それに自信を持っているからだろう。
 だけど自分はどうか。
 初めての受け持ちのクラス。初めての卒園生。全てが初めて。
 わからないことだらけ。怒られることもある、注意を受けることもある。

 園長も杏奈も、千夏の今後の成長を見込んで強く声をかけてくれることはわかっているが、それでも心が折れてしまうときがある。なぜなら、あのような少人数の幼稚園であると、相談にのってくれるような、同じような年代の同僚がいないからだ。
 上からの圧力に潰されそうになってしまう。

 スマホをテーブルの上に置き、着替えを始めた。

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