離婚するはずが、エリート警視は契約妻へ執愛を惜しまない~君のことは生涯俺が守り抜く~

 柚香が小さな手で興味津々にそれをつかもうとしているのが、鏡越しに見えた。


「柚ちゃん、それは柚ちゃんが将来出会う人にもらってね」


 そう言って柚香を抱き直す。彼女はきょとんと私を見上げていた。横で永嗣さんが「気が早い」と唇を尖らせる。

 私は思わず吹き出して──永嗣さんもそんな私を見て笑って。柚も不思議そうに、けれど嬉しげに笑って──


 きっとこれから、楽しいことばかりじゃないだろう。嫌なことも、苦しいこともあるだろう。



 それでも、ひとつだけ──



 彼の隣なら、明日も明後日も、なんなら百年後も絶対に私は幸せだって、彼色に染まっちゃった私は確信していたりするのだ。



「行こうか」


 永嗣さんが私に手を伸ばす。

 私はその手をとって、微笑んだ。
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