妄想腐女子の恋愛事情  倉橋琴音と影山海里

深夜の面接

<深夜の面接>

倉橋琴音は、
夜の10時50分に、
あの雑居ビルの入り口に、立っていた。
大きく深呼吸をする。
就活用の濃紺のスーツのほこりを払う。

A4の入る大き目の黒のバックには、昨日、書いた履歴書が入っているのを、もう一度確認した。

深夜のエレベーターは怖いので、
階段で3階まで一気に上がる

ビルのワンフロアが、
学習塾なのだろう。

正面のドアには、「景山学習塾」と、プレートが小さく貼ってある。

夜の11時だからか、
生徒の影はもうなく、ひっそりとしている。
ドアの周囲には、インターホンはない。

しかたなく、ドアをノックしたが、何の反応もない。

ドアノブを回すと、扉が開いたので、
琴音は室内をそっと覗き込んだ。

正面にホワイトボード、
机が10本ほど置いてある。

昔の会議室を転用したのだろう。
パーテッションで、間仕切りが
してある。

「11時にお約束した、
倉橋ですが・・どなたか・・」

取りあえず、声をかけてみるが、
反応はない。

誰もいないようだが・・・

どうしようか・・
また、連絡したほうがいいのか・・

帰ろうか・・・
と、琴音がドアに戻ろうとした
時だった。
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