妄想腐女子の恋愛事情  倉橋琴音と影山海里

学習塾の仕事・その2

「キャァハハハ・・」
思春期特有の女の子たちの、
かん高い声が、廊下の先でする。

その声で、琴音のトイレブラシの手が止まった。
その声で、一気に現実に引き戻された。

「センセーーー、
まだ来てないんすかぁ?」

急いで、トイレから顔を出すと、
廊下で、3人ほどの中学生らしい女の子たちが、ワイワイしている。

「あのぉ、生徒さんですか」
琴音が声をかけると、
女の子たちは不審者を見るように、警戒して琴音を見た。

琴音はすぐに、その視線に対応するように

「あの、私、倉橋と言います。
今日からこの塾の事務をします。
よろしくね」

気の強そうな女の子が、
ふてくされたように口をとがらした。

「それじゃぁ、先生を起こしてきてくださいよぉ。
また、寝坊するんだから」

「え・・、起こすって・・」
琴音は、戸惑いを隠せなかった。

女の子は、不満げに続けた。

「この上の階に、先生が住んでいるから、行って、呼んで来てくださいよ」
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