妄想腐女子の恋愛事情  倉橋琴音と影山海里

妄想の楽しみ方

<最後の日>
3月の夜は、寒さも緩み、
花の香りの予感をいざなう。

この塾の授業も、今日が最後だ。
琴音は、ため息をついた。

夜の仕事で、時給がいい、
何といっても、ちょいちょい妄想に浸っても、邪魔がはいらない。

かつ、文句を言われない環境が、よかった。

新しい仕事を、見つけなければならないし・・・

「先生、またね、さよなら・・」
生徒の声が、廊下で響いた。

バタン

最後の生徒が、出て行く。

景山海里が、プリントの束を抱えて、廊下を歩いてきた。

それと同時に、
琴音は事務室から、廊下に飛び出した。

今日が、最後のチャンスなのだ。

倉橋琴音は、自分が30過ぎて、
本当に、バカバカしい事を
やろうとしていることは、
よくわかっている。

「景山先生・・
お願いがあるのですが・・?」

「なんだ?」
いつものように、
面倒くさげな声をだした。
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