Out of the blue ~デキてない結婚~
私たちは、余程帰りが遅くならない限り、夕飯は一緒だ。

貴一の家で頂く日と、私の家で食べる日とで、ほぼ交互に行き来している。


小泉明菜、24才。

年配の人からはよく「ふざけないで、本名を言いなさい」と言われるが、本名である。

私は一人っ子で、既に両親は亡い。

16で母を亡くし、19で父を亡くして間もなく、私は大学を中退した。

父の生命保険は受け取ったものの、もう誰一人として身寄りがなくなってしまったので、自分にはお金だけが頼りだとリアルに感じていたから…。

今はもう、両親のことは懐かしい思い出だ。

どんなに辛く悲しい日々も、貴一がいつも側で支えてくれたから、私は昔も今も、明るさを失わずに生きていられる。

そして、貴一のご両親も、叔父や叔母のように気にかけてくれていた。
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