婚約破棄され辺境地へと追放された私ですが、ワケあり第二王子に溺愛される運命だったようです!


 周りにいる貴族たちは私を見てヒソヒソと話し始める、ただ面白がる男性や同情するかのような瞳を向ける婦人たちも……その視線の全てが今は辛くて堪らなかった。

 アンネマリーの右手には包帯が巻かれ、それもここに集まった人たちの想像を膨らませていた。

「そして……聖女であるアンネマリーを池に突き落とし怪我までさせた。そんな君をこのまま彼女の傍に置いておくわけにはいかない」

 誤解だ! そう言ってもきっと聞いてもらえない気がする、つい最近まで私の味方だったはずのカールの瞳にはもうアンネマリーしか映っていない。
 妹はさも傷付いた、怖かったと言うようにカールの腕にしがみつき身体を震わせている。

「ああ、カール。私はお姉様を恨んでいないわ、お願いだから彼女を許してあげて?」

「優しいな、アンネマリーは。しかし貴女は聖女なんだ、この国でただ一人の清き力を持った特別な存在だということをお忘れなく」

 二人だけの世界を作っているようなアンネマリーとカールハインツの姿に胸が酷く痛む。好奇の目にさらされて、愛する人はもう自分を見てもいない。このままここにいる事だけでも十分拷問のようだった。

「アンネマリーに感謝するんだな、本当なら国外追放されても文句は言えなかっただろう。シャルロッテ、君には療養という形で辺境地ナーデラントへと向かってもらう」


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