婚約破棄され辺境地へと追放された私ですが、ワケあり第二王子に溺愛される運命だったようです!
真実を見て選ぶべき道


「本当にこんな夜更けに森に入っても大丈夫なの? ナーデラント辺境地には野生の獣や見たこともない魔獣がいると聞いたことがあるのに……」

 頭まですっぽりと隠れる、生地の厚いマントを羽織ったロッテが不安そうにレーヴェを見上げる。外は真っ暗で、運が悪く月明かりもないような深夜に二人は屋敷からそっと抜け出した。
 屋敷には怪我をした刺客の男がまだ眠っているが、彼は置いていくとレーヴェが決めてしまった。また命を狙われる可能性や、自分達の情報がアンネマリーに伝えられてしまう事を心配したのだろう。

「そう心配することはない、此処は俺にとって慣れた場所でもある。凶悪な魔獣の話だって、ここに人が近づかないよう大袈裟に伝わっているだけだ」
「そうなの? じゃあ、森の奥地に住むと言う妖精の話は? 子供の頃、アンネマリーと一緒に探しに行くんだって約束してたくらいなのに」

 王都に住んでいたロッテにとって、ナーデラント辺境地の話は現実離れしたものばかりだった。そんな彼女の様子にまたもレーヴェは噴き出すのを必死で堪えているのだが。
 妖精を信じて瞳をキラキラとさせる彼女を可愛いと思いながらも、それを素直に言えばロッテを怒らせてしまうかもしれない。そんな事を頭の中でグルグルさせながら、愛馬の元へとロッテを連れて行く。


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