婚約破棄され辺境地へと追放された私ですが、ワケあり第二王子に溺愛される運命だったようです!
見ない振りした裏切り


 ガタガタと揺れる馬車の中、私は視線はぼんやりと宙を彷徨っていた。侯爵家が用意したとは思えないボロボロの馬車は今の私にお似合いなのかもしれない。
 雨が降れば雨漏りしそうな天井に破けかけの椅子、カーテンまで薄汚れていて笑いが込み上げてきそうになる。

 私とアンネマリーは双子としてあの家に生まれ、何不自由なく育てられた。昔はアンネマリーも私と仲良く遊んでは疲れて一緒のベッドで眠っていたりもした。
 初恋の人も同じで、二人で話しかけられるたびにきゃあきゃあと騒いだりもして。

 そんな私とアンネマリーの関係が変わったのは、カールハインツとの婚約がきっかけだったと思う。二人の初恋の相手でもあるカールは私との縁談を受けてくれた。
 聖女が産まれるとされる私達の家では、昔からこの国で一番力を持った貴族との婚姻が決められていたから。

 その時私とアンネマリーは共に十六歳だったが、どちらも聖女としても力は顕現させてはいなくて。そんな中決められたカールと私の婚約で、アンネマリーは数日塞ぎこんでしまうほどだった。

 カールは私を大事にしてくれたし、私も彼を純粋に慕っていた。このままいけば私たちは良い夫婦になれる、そう信じて疑いもしなかったの。
 
 ――アンネマリーが突然、聖女の力を顕現させた半年前までは。

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