婚約破棄され辺境地へと追放された私ですが、ワケあり第二王子に溺愛される運命だったようです!


「頼もしいな、ロッテは。俺がどう君を説得しようかと迷っていたのは無駄だったみたいだ」
「そんなことないわ、レーヴェが一緒にいてくれるから私は迷わずにすんでいるの」

 レーヴェはそう言うが、もし今もロッテが一人だったならば不安で前に進むことなどきっと出来なかったはずだ。それどころかアンネマリーが差し向けた刺客に、ただ殺されていただけだったかもしれない。
 あの屋敷であの日にレーヴェと出会ったから、彼がロッテの事を必要としてくれたから。それがどれだけ彼女に自信を与え、その孤独を癒したのかレーヴェには多分分かっていないだろうけれど。

「私、レーヴェに出会えて本当に良かった。神様に凄く感謝しているの」
「大袈裟だな。でも……俺も神様に感謝してる、ロッテに出会えたことだけは」

 少し含んだものの言い方が気になったが、何となくその笑顔の奥に見えない壁を感じてロッテはそれ以上詳しく聞くことはしなかった。
 レーヴェが何かを話せないのにはきちんと理由があるはず、ロッテは彼が自ら全てを語ってくれるのをジッと待つつもりなのだろう。

「そういえばロッテは食事がまだだっただろう? 宿の女将が君の為に軽食を用意してくれたから食べるといい」
「え? でもレーヴェは……」

 もし彼が食事をしてなければ、軽食とはいえ自分だけが食べるわけにはいかない。ロッテはそう思って、レーヴェが差し出したバスケットを受け取れずにいたのだけれど。

「俺は宿の食堂で済ませている、悪いとは思ったがぐっすり眠っているロッテを起こしたくなかったんだ」


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