こいろり!



学校の昼休み──。

赤司が前から覗いているから、ブチッとボタンを押してスマホの画面を切った。



「あぁん??し、してねーよ!」

「してたって。マジですっげーニヤケてた」

「あはは、気持ち悪いくらいにねー」


赤司に続いて、利瑛もクスクスと笑いながら会話に参戦してくる。

俺、無意識のうちにニヤけてたのか……?
上がった頬の熱を隠すよう、自身の顔に右手を当てて大きな息を吐いた。



「いやー、でも分かるなぁ。彼女が出来ると舞い上がっちゃうっつーか、心ここに在らずのその気持ち。俺もさー、考えるだけでニヤニヤしちゃうもん」

「ちっ、彼女じゃねーし。はじめての彼女で脳内お花畑になってるお前と一緒にすんな!」

「あは、赤司も最近 気持ち悪いよね」


最近、彼女が出来た赤司と同レベルなのかと思うと情けねーな。そう思うと同時に、別に華花とは付き合ってるわけじゃねー事に気がつく。



「なぁなぁ、利瑛ー。今度の土曜日とデートで✕✕駅ビル方面に行くんだけどさ、飯とかどこが雰囲気いいん?」


「は?土曜日??」


赤司の"土曜日"という単語に反応してしまえば、2人の視線が俺に向けられるから一瞬で後悔した。


< 116 / 178 >

この作品をシェア

pagetop