こいろり!



ゴージャスな西洋の城みたいな家の前に立つのは、俺と母ちゃんと父ちゃんと3人。

俺は一応制服で、母ちゃんも父ちゃんも正装はしているものの、この豪邸の前にいるとやっぱり小者にしか見えない。

インターフォンを押すと門がギギッと自動で開くから、父ちゃんがビビって後退りをした。



「父ちゃん、情けねーなぁ」

「いや、だってこんな家だなんて知らなかったんだよ」


華花ん()、久し振りに来たな。

玄関に辿り着くと、扉から華花がひょこっと顔を出した。



「え、え、何で?泰良、今日はどうしたの?て、え?それに……髪が黒いわ!」


華花の頬のガーゼは取れて、怪我の痕は綺麗に無くなっている。柔らかそうなピンク色の頬が露になっているから、良かったと胸を撫で下ろす。



「また、スプレーかしら?」

「いや、昨日染めた」

「えぇっ、どうしてっ!?」



口を開けて目を丸くするこいつの表情が面白くて、ふっと口元が自然に緩んだ。



「華ちゃん、大丈夫だった??ごめんねぇ!うちの馬鹿息子がぁ。今日はね、華ちゃんちのご両親にお()……ご挨拶にきたのよー!!」

「加賀美さまですね、こちらへどうぞ」


母ちゃんが華花の目線に合わせてしゃがみ、騒がしくトークを始めたその時、後ろからスッと周が姿をあらわした。




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